☆イラストレーターとレイアウト。

イラストレーションはグラフィック表現のパーツである。
パーツである故に、常にレイアウトされる運命にある。
レイアウトは、基本的にデザイナーの仕事だが、イラストレーターとしては何処までレイアウトを考えるべきだろうか?


しっかり情報を盛り込みながらも、絵の世界観を活かしてくれています。
絵をパーツとして提供するクリエーター(敢えてイラストレーターとは限定しない)は、レイアウトを先読みして制作すべきではない。
自分の絵に最大限注力し、余分なことを考えない。
レイアウトはデザイナーにお任せする。
というのが多勢の考え方だろうか。

一方で、イラストレーターもデザイナーの因子を持つべきで、
デザイナーが仕事をし易い様、構図にも色にも配慮して制作すべきである。
という考えもある。

あまりにも先読みしてデザイン上の配慮をし過ぎることは、
絵の特徴を損ない存在感を小さくしてしまう原因になる。
かといって、
デザインの要素としての存在を全く無視してのびのび描き過ぎると、
思いがけぬ酷いレイアウトのしっぺ返しをくらうこともある。

難しいバランスだな。

経験のある発注者と受注者の立場であれば、
老練なバッテリーのごとく、細やかなサインのやりとりで、
バッター(ここではクライアントかな)を打ち取ることができるが、
お互いルーキーの様な場合は、おぼつかないサインに噛み合わず、
バッターに小刻みなヒットを喰らったり、
ホームランで大逆転されるはめになる。

僕の経験上、経験豊富で優秀なデザイナー・ディレクターは、
うっとうしいほどに発注段階で細やかな指示を出すか、
あなたの自由に描いてくださいというかどちらか。

前者は、デザインに自信がありすべてをコントロールしたがるタイプで、
後者は、イラストレーターの持ち味を大切にし、
でたとこ勝負に対応できる懐の深さを特徴とする。
どちらもあり。
もちろん、広告とエディトリアルといった分野でも大きく違ってくる。

結局のところは、ケースバイケースで。
などといったら、この記事の意味がなくなるな。

絵を提供するサイドとしては、
常に自分なりのレイアウトを想定して制作する。
その上でちゃぶ台をひっくり返されることがあったら、
なぜそうなのかのチャッチボールを行う。
この問答までは、自らの向上には必要なプロセス。
その先は、人それぞれ。
足にしがみつくか、担架を切るか、諸手を挙げるか、深いため息をつくか。

イラストレーターとしても、絵以外に使いこなせる
コミュニケーション能力が必要だ。

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