★写真にはないけど絵には必要なもの。

写真を資料に描くことには、ある危険性が潜んでいます。



美術教育現場で、写真をトレースして絵を描くことを良くないことのように
教える場合がありますが、そんなことはありません。
昨日のブログにも書きましたが、写真だからこそ得られる情報があるのです。


ただ、写真と絵の違いを理屈でハッキリと説明しておくことが前提。

肉眼ほどでは無いにせよ、写真は非常に情報量の多いモノであるのに比べて、
絵の情報量は微々たるモノ。
単にトレースして平面的に描いてしまうと、
ちぐはぐな部分が出てきてしまいます。

例えば、一枚のファッションモデルの写真があります。
モデルは指先をカッコよく見せるために、親指を隠していたとします。
このままソックリ絵にしてしまうと、
親指の無い(ように見える)人物になってしまう危険があります。
一生懸命に描いている本人は意外にこのことに気が付きません。

また、広角レンズで取られた写真などは、
手前の物が大きく奥の物が小さく写っています。
この特徴を知らないまま、肉眼と同じつもりで描写してしまうと、
人物などの場合は、手足が小さすぎたり大きすぎたりして、
デッサンの狂ったようなバランスの悪い絵になってしまいます。

このような写真(カメラ)が持つ特徴をきちんと理解し、
トレースなどして絵にする場合は、適宜補正をしなければならないのです。

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